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住民参加のランドスケープ「南長崎はらっぱ公園」

全景

はじまりは防災まちづくり

それは豊島区南長崎4・5・6丁目地区で行われれきた防災まちづくりの提案からはじまりました。 この地区の防災まちづくりは、地域の住民と地域内の福祉施設の方が一緒になって活動していることが大きな特徴です。
地区にある利用を中止した豊島プールの壁面が落書きだらけになっていたことから、活動の一環として落書き消しを行いました。その後、豊島プール跡地を、隣接する児童遊園と一体にした公園にして、防災的に利用できるようにしてほしいという要望書を豊島区に提出し、それが認められて事業がはじまったのです。

検討会

住民参加の検討会

豊島区では、防災まちづくりの会を母体に、周辺の方にもご参加いただき、公園づくりの検討会をつくりました。 検討会ではワークショップによっていろいろなアイデアを募集し、それを形にしていく検討を行いました。
しかし、その前に豊島区から条件が示されました。公園の長期整備計画にない整備のため、予算が極めて厳しいとのことです。当初確保できた予算では、地下の排水工事などを行うだけでなくなってしまうほどでした。

ワークショップの成果

お財布ゲーム

そこでワークショップでは、限られた予算を効果的に使いながら整備をするために、お財布ゲームをしました。
公園整備の単価を示し、それを積み上げながらトータルで予算内に収まるように検討したのです。
右下の図の右側にあるのが、このグループの予算の積み上げの結果です。少ない予算をやりくりしながら、公園を作ろうと工夫しています。
このような検討の結果、既存の児童遊園はほぼそのままとし、プール跡地部分の中央ははらっぱにする現在の公園の骨格ができあがりました。
それを受けて豊島区では、追加の予算もやりくりしながら、公園整備を行いました。


住民参加の芝生の広場

芝生植え

住民の手づくりの公園

この公園づくりは予算が少ないというところからスタートしています。検討会ではお財布ゲームによって整備内容を検討しましたが、それだけでは味気ない公園となってしまいます。そこで提案されたのが、できることは自分たちでやろうということです。
中央のはらっぱ、芝生広場、ビオトープ、いのちの森などは住民が手づくりすることにしました。
写真は芝生広場を作っているところ。イベントとして近隣の方々数十人に集まっていただき、鳥取方式という芝の苗を植える方法で植え付けをしました。

芝生の広場

住民の手づくりの公園

1年後に芝生はすくすくと成長し、きれいな芝生の広場となりました。
ここには犬は立ち入り禁止。家族がお弁当を食べたり、遊ぶのに格好の場所になっています。


ビオトープづくり

ビオトープづくり

手づくりのビオトープ

敷地の北側の日当たりのよい場所にはビオトープをつくりました。
検討会では、学校ビオトープの事例などを見学してイメージを固めました。
最初の作業は防水シートの上に田んぼの土を入れ、それをつき固めること。30人ほどの方々が参加してくださいました。

ビオトープづくり

石を敷き詰めて

上流部は石を敷き詰めて渓流のようにし、下流部はなだらかな池のようにするというがこのビオトープのイメージです。
現場でいろいろと話し合いながら、和気藹々の作業となりました。

ビオトープづくり

いろいろな植物と動物

ビオトープには防災のために掘った50mの深井戸の水を入れています。予想以上に鉄分が多く、除鉄器を入れなくてなりませんでした。
水を張って少し落ち着かせてから、水生植物も合わせ数十種類の植物が植えられました。その後、メダカやドジョウ、クチボソなどの魚を放しました。

ビオトープづくり

自然に任せて

完成後に金魚や亀を入れられることもありましたが、できるだけ取り除き、生態系の維持に努めています。
植物はスクスクと育ち、ビオトープらしくなってきました。
完成後、すぐにカエルが棲みつき、いろいろな種類のトンボも集まってきました。時々、カルガモもやってきます。


はらっぱづくり

クローバーの植え付け

クローバーの植え付け

公園の中央部は草のはらっぱとして計画しました。最初は開園式のイベントで、参加者の皆さんにクローバーの種を蒔いてもらいました。しかし、いくら待ってもほとんど生えてきません。長年、プールがあったのでその影響かもしれません。普通は雑草が生えて草刈りに苦労するのですが、草も生えてきません。
翌年、種はあきらめ、種から育てた苗を植えました。

クローバーの苗

クローバーの苗

何回かの試行錯誤の末に、住民の皆さんが植えたクローバーの苗は、順調に伸びだしました。

はらっぱ

はらっぱ

草も生えないと思われたひろばは、ようやくはらっぱらしくなってきました。
ひろばの維持管理は、検討会から育てる会に名前を変えた住民組織の皆さんが、毎週、定期清掃を行っています。そういった活動の中で、迷惑になるようなことがあったら、小さな芽のうちに摘むようにしています。


森と花壇

いのちの森

いのちの森

敷地の西側の高層マンションがある側は「いのちの森」となっています。これは豊島区が進める都市緑化の方法で、横浜国立大学の宮脇名誉教授の指導のもとに行われているものです。
いろいろな種類の苗木を高密度に植え、自然の推移に任せて森を作ろうという構想です。植樹祭には多くの住民の皆さんが苗木を植えました。

いのちの森

やがては森に

苗木もスクスクと育っています。やがて、大きくなり森になっていくことでしょう。

花壇

地域花壇

ビオトープに隣接して地域花壇があります。この場所は地域住民に任された花壇です。豊島区から苗などをいだきながら、足りない分は育てる会の予算で花を絶やすことなく維持されています。


防災公園

かまどベンチ

かまどベンチ

この公園は防災公園として整備されています。そのため、いろいろな防災設備が整備されています。
これはかまどベンチ。ベンチの脚部に入れられているかまどを出して使っているところです。
防災設備は普段から使っていないと、いざという時につかえません。そこで、毎年のイベントの時に炊き出し訓練をかねてご飯を炊き、カレーライスを作っています。新聞紙で炊くご飯はなかなかの味です。

クローバーの植え付け

非常用トイレ

災害時に使う非常用のトイレも整備しています。
実際に使ってみようということで、イベントに合わせてテントを設営してみました。味噌を使って、実際に流れるかも試してみました。
やってみたところ、便座となるマンホールの蓋が反対についていることわかり、改修してもらいました。はやり実際にやってみないとわからないものです。


みんなの夢が実現する公園へ

クローバーの植え付け

ポニーが来る公園

この公園には、月2回、ポニーがやってきます。
ポニーは地元の社会福祉団体の協力のもとに、群馬の牧場からやってきます。
普通の公園ではなかなか認められないことだと思いますが、豊島区のご理解のもとに実現しており、たくさんの子供たちが、ポニーに触れたり、乗ったりしています。
ポニーはクローバーの間から出てきた雑草を食べてくれるので、はらっぱの草取りも引き受けてくれています。

クローバーの植え付け

花火大会

機会があるたびに、この公園でやりたいことを利用者の方々に聞いています。その中から出てきたのが花火大会。通常の公園では花火は禁止されています。しかし、都会ではなかなか花火をする場所もありません。中には違反を承知で公園で打ち上げ花火をする人もでてきます。
そこで育てる会では、会が主催して花火大会を行いました。大勢の住民の皆さんが参加されました。写真は参加者全員で行った花火です。
このようにこの公園は、住民参加のモデル公園として、育てる会が中心となっていろいろな使い方ができるようにしていける公園にしようとしています。


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