音大生向けマンションの物語。建築設計のアドバイスをいたします。お気軽にお問合せください。

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アイビーフラットの物語

立教大学に隣接して

この建物は池袋の立教大学に隣接しています。窓からは立教大学の由緒あるレンガのキャンバスや、鈴懸の径として 有名なプラタナスの並木道が見え、クリスマスの頃になると大きなヒマラヤ杉にイルミネーションが賑やかです。この立教大学にちなんで、 この建物の屋上にはアイビーが植えられています。建物の名前もそこからきています。

音大生向けマンション

このアイビーフラットは、音大生向けマンションです。音大に通う女子大生向けのマンションで、ヤマハの関連会社(株式会社ソナーレ・音大生倶楽部)が音大生のお世話の一環として行っている 事業です。音大生は楽器の練習ができるマンションがなくて困っており、そういう人が気兼ねなく練習できる所が必要とされているのです。学生数にくらべて部屋数が圧倒的に少ないため、全く空き部屋がでず、常にキャンセル待ちの学生が待っているような状態です。建主にとっては安定した家賃収入を得ることができるので安心できるシステムと言えます。

最初の落胆

「もうだめかもしれない」と、建主は何度も思ったかもしれません。この建物ができるまでにはたくさんの山と谷がありました。建主のご希望は、賃貸部分を作り、その収入で建て替えをすることでした。ご相談を頂き、すぐに思いついたのが、住宅都市整備公団の民賃制度です。比較的安い金利で全額融資を受けることができます。通常は規模の大きいものしかできないのですが、私が係わってきたまちづくりの地区にあるということで、小さな規模でも対象となります。

早速、計画案をつくり、収支計算を行いました。それを持って公団に相談に行ったのです。ところが公団では収支計算がぎりぎりでは受け付けないと言います。折しも不良債券問題が新聞を賑わしはじめたころで貸し渋りをされた訳です。がっかりする建主を慰めている時に紹介されたのが、音大生向けマンションだったのです。話を伺うと、立地としては非常にいいとのことで、再び建て替え事業がスタートしました。

二度目の落胆

当初、1社のゼネコンと共に事業を計画していました。民賃制度の申し込みにはゼネコンが必要だったからです。音大生向けマンションの計画が進み、いよいよ見積が出されて、建主は再び目の前が真っ暗になったといいます。

賃貸部分の収入で建て替えを行うためには、工事費としては8500万円の予算しかなく、そのうち1500万円を自己資金として出し、残りは家賃収入で賄うことにしていました。そのため、自己用住宅の面積も最小限にして少しでも賃貸部分を増やすように工夫していました。ところが、ゼネコンからの見積は1億2000万円にもなったのです。予算を5割もオーバーしています。どう考えても建て替えは出来そうもありません。

そこで私は、新たに3社のゼネコンに、改めて見積をお願いすることにしました。そうするとその結果は、最も安い所では9000万円の見積が出されたのです。やむを得なかったとはいえ、1社に見積をしてもらうことの危険性を改めて知りました。

その後、 500万円の予算オーバーに対して、設計内容を見直し、無事、予算どおりの建て替えができました。ちなみに、この建物は屋上緑化を行っていますが、それは削ることなく実施することができました。

屋上緑化

屋上を緑化することは、私から提案しました。それには3つの意味があります。 1つは賃貸部分が1〜2階にあるため、建主の利用できる庭を屋上につくるということ。奥さんは園芸が趣味なのでこれまで以上に広い庭をつくることができます。 2つめは屋上緑化の断熱効果によって しのぎやすい室内環境になること。屋上緑化に使うのは軽量の人工土壌です。軽くて断熱性が良いので、マンションの最上階にありがちな、夏の暑さや冬の寒さを和らげてくれます。 3つめは地域の環境への貢献となること。都市のヒートアイランド現象を和らげるために屋上の緑化は大変に有効な手法です。この3つを説明したところ、ご主人と息子さんはそれほどでもありませんでしたが、奥さんが是非やりたいとおっしゃい、実現することができました。

平成9年の夏は記録的な猛暑でしたが、屋上緑化のおかげでこの家では、クーラーをほとんど使用しないで夏を過ごせたと感謝していただきました。

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